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第98回 女性を活かすと業績が上がるは本当か

女性活用と業績は関係があると以前からよく言われています。ところが、ちょっと前までは、「確かに相関関係はある、だがその因果関係はよくわからない」という声が多数でした。

つまり、女性活用が進むから業績が上がるのか、業績が上がった結果、経営に余裕ができて女性活用ができるようになるのか、「さて、どっちなんでしょう」というところで議論はストップしていたのです。

短い間に世の中だいぶ変わったなぁと思うのは、先日「女性生かす企業に高評価」という見出しの新聞記事を見つけたこと。女性活躍を含むダイバーシティ経営を進める企業に対する投資家の評価が上がっているという内容です。

察するところ、昨今では、女性を活用すれば業績が上がるという因果関係が、わりと「当然」と受け止められるようになっているらしい。

さらに、記事を読み進めると、女性を含む多様な視点を反映した経営が、コロナショックのように予測が難しく、インパクトが大きいリスクの回避にプラスに働く、という論旨が見えてきます。

実は私、この手の女性活用問題を目にするたびに、なんかこう、ステレオタイプに絡め取られて大切なことを目くらましされたような居心地の悪さを感じるのです。

女性を活用すると業績が上がる?

湧き上がってくる疑問はたとえばこんな感じです。

  • どうなれば、女性を活用したことになるのですか?
  • そのことによって当事者たる女性は満足や幸福感を感じるのですか?
  • 活用するのは女性だけでいいんですか?

ここまで書いてきて、居心地の悪さの原因が見えてきました。

女性を業績アップのための「道具」として扱っているところが、どうにも気にくわないのです。

経営の話と社員の感情の話をごっちゃにするなと怒られそうですが、この二つはやはり同時に考えるべき、というのが、私の立ち位置です。

もっと言えば、経営者も社員も「人」という意味ではなんら違うところがなく、その間に生まれる相互作用は同じ質を帯びると考えています。

つまり、経営者が女性たちを「業績アップのための道具」と扱えば、女性たちも経営者を「収入を得るため」とか「社会的地位を上げるため」の「道具」として扱う。

逆に経営者が女性たちをそれぞれの事情と感情をあわせもつ「人」として扱えば、女性たちも、経営者をそれぞれの事情と感情をあわせもつ「人」として扱う、と。

こういう話になってくると、「女性」だけの話ではなく、すべての働く人を視野に入れたほうが合理的です。

女性活用の話が、社内の未利用資源たる「女性」を活用して新しい視点や多様性による組織の強靭性を高めるというのであれば、社内の未利用資源はひとり女性だけではないはずだからです。

職場の環境や人間関係の影響で持っている力を発揮できない人、なんらかの事情で時間制約があり断片的な仕事しか任せられていない人、何かを勘違いしていて力の出す方向を誤っている人も、会社の未利用資源と言えます。

こういう人たちの感情面に訴えて力を出していただくことが、結果的に業績に結びつくのであれば、万々歳な展開です。ぜひ一緒に考えましょう。


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