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第89回 経営者の器と業績の関係

何人もの経営者や起業家とお会いしていると、「この人は経営者の器だな」と思うことが時々あります。

「器」とか「器量」とかいう言葉は、何とも曖昧でとらえどころがありません。似たような言葉に「人間性」がありますが、これも何とも曖昧で、なんとでも説明がつく言葉です。

最近、ある人と話をしていて、人の「器」というのは、相手を受け入れる度量、懐の深さ・大きさだと気が付きました。よく「人たらし」と形容される人がいますが、その人の周りに人が好んで集まる、まるでミツバチの世界の「蜜」のような人たちです。

もう亡くなってしまった経営者でそういう方がいました。いつも社員の一人一人に声をかけて、茶化して、楽しませる。決して褒めるばかりでなく、けなしてもいるのですが、最後にはきちんと励ましの言葉をかけて悪い印象を残さない。

昔ながらの宴会でも、周囲がお酌をしに行くのではなく、酌は自分ですると言いながら、広い会場のあちらこちらに大きな声で声を掛けます。もうそれをすること自体が楽しくて仕方がないという風にするのです。

社員の側は大社長に声をかけられてまず嬉しい。そのうえ、自分のことをとやかく言ってくれて嬉しい。大きい会社であれば、覚えてもらえていること自体が嬉しい。というわけで、蜜のように人の心が群がっていきます。

こういうタイプの起業家は、顧客や同業からも好かれます。自分ができること、やりたいことを明示していますから、仕事を融通してもらったり、紹介してもらったり、あるいは独立前の顧客がそのまま起業後の顧客になってくれたりします。

一言でいうと、人の心に寄り添える人なのでしょう。相手が顧客であろうと、社員であろうと、取引先であろうと、姿勢や態度は同じです。文字通り大きな「器」で相手を受け入れるのです。

これは天賦の才かもしれないのですが、経営者として成功する一要因だとしたら、再現可能な手段やテクニックに、落とし込みたいと思うものです。

ではどうすれば、顧客も社員も同業者も惹きつける「蜜」のような存在になれるのか。

もちろん生まれつき「蜜」のような存在の方に何か言うつもりはありません。そうなりたいと思ってなかなかできない私を含む人たちに何が言えるのかという話です。

一つの答えは「利他性」という言葉にあります。少なからぬ企業が社是・社訓に「利他性」という言葉を取り入れています。ビジネスと利他性。なんとも相いれない気配の二つの言葉。以前、私も、ある会社の社是・社訓に「利他性」という言葉を見つけて、「なんと、偽善的な!」と思ったものです。

ところが、これが全く偽善的ではないのです。

たとえば顧客に対して「利他性」を発動すれば、顧客が最も欲しいものは何かを探る行為になります。マーケティングの教科書によく出てくるドリルと穴のお話です。顧客が本当に欲しいと思っているのは、ドリルではなく穴であると。だからドリルを買いに来た客が本当に欲しているものを理解してから、何を売るか考えるべきだ、と。

別の例では最近はやりのカスタマーサクセス(顧客の成功)。顧客が商品・サービスを購入する目的は、商品・サービスを入手することではなく、それを道具として何事かを成し遂げたいからだ。だからそのゴールを達成できるような、商品・サービスの提供方法を考えるべきだ、と。

これらはいずれも、企業活動として当然ある「売りたい」という利己性をいったん脇に置いて、顧客の事情をまずは考える「利他性」が先立っています。だから、自分の気持ちに寄り添ってもらった顧客は、納得してお金を払うわけです。

社員に対しても同じです。自分を押し出すよりも先に相手の事情を汲む。そこに立ち現れる優しさが「蜜」になります。

「蜜」が関係づくりに役立ち、関係づくりが業績に反映します。

ぜひ、一緒に考えていきましょう。


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