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第61回 急拡大する組織の盲点

先日、とある会合で横に座った若い経営者から「組織が急拡大してしまい、統率がとれなくなってきた」という話を聞きました。たった二人で始めた小売業がいまや10店舗を超えるまでに増え、他業種にまで進出して社員も数百名になっているとか。順風満帆な様子に「すごいですね〜」と相槌を打っていましたら、「そうでもないんですよ」と言って冒頭のような話になりました。

急拡大する組織は右肩上がりの勢いがあって素晴らしいのですが、創業メンバー以外の社員が増えるにつれて、考え方がバラバラになってきがちです。ひどい場合は創業メンバー同士もバラバラということもあって、売上が伸びているうちはあまり気にならないのですが、事業が停滞したり、減速してきたりするとバラバラ感が目立ってきます。それで離反者が現れたり、もっと良い待遇を求めて転職を模索する社員が現れたり。

拡大しているときこそ考えなければいけないのが組織としてのまとまり感。ところが経営者自身は事業拡大を優先せざるを得ず、組織のメンテナンスは後手に回りがちです。また若くて勢いのある企業に特徴的な不作法さも、ある程度までは許容されるものの、あるラインを超えると顧客や社会から嫌われる要因にもなります。

急拡大する組織では人材採用もラフになりがちです。人数の充当を優先するために、適性や相性をあまり検討することなく採用した結果、かえって混乱を招くということもあったりします。最近は応募する側のテクニックもうまくなり、人材不足も相まって、採用のミスマッチで泣きました……という話もよく聞こえてきます。

教科書的に言えば、理念やビジョンを明確にして、全社の考え方を統一すべき段階。ところが理念やビジョンの明確化と売上拡大の因果関係がよくわからないために、着手が遅れるケースがよくあります。あるとき、どこかから言われて、とってつけたように理念やビジョンを制定する企業もあるのですが、全社に浸透しなければその効果も限定的です。

こう見てくると急拡大の組織こそ、組織の整備に力を注ぎ、安定的な成長に移行するための準備をしていく必要があります。

実は理念やビジョンの制定や浸透の方策は諸刃の刃で、社員の反応はおよそ次の3種類に分かれます。1つ目は、高度に適応して自身と会社を同一視する人たち。2つ目は、表面的に適応してそつなく過ごす人たち、そして、3つ目は、適応できずに会社を去ってしまう人たちです。

人材不足の昨今では、3つ目の人材流出は避けたいもの。でも、ビジョンや理念に適応しない社員は組織のかく乱要因にもなります。ここは賛否が分かれるところですが、私は、理念に馴染めず人材が流出する場合は良しとすべきという視点に立っています。さて、皆様はいかがでしょうか。

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