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東京事務所

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第55回 ビジョンを描くとき、大切なこと。

先日、とある会社の後継者と会話をする中で、「ところで、○○さんのビジョンはなんですか?」という話題になりました。いただいた答えは「私、ビジョンないんです」。先代から事業を引き継ぎ、これから大きくしていこうとしている方の言葉としては、少し意外な感じで受け止めました。

ビジョンを語れば、その人のビジネスに対する姿勢が端的に伝わるので、コミュニケーションの手段として便利です。しかしながら、何によってドライブされるかは、人により様々。他の人がとやかく言う筋合いのものではありません。

ただ社内外の人をまとめていくときや、顧客をファン化しようというときには、経営者自身のビジョンがあったほうが便利です。それも自分本位のビジョンではなく、利他的なあるいは社会的なビジョンであったほうが、共感が得やすいという点でその効果は顕在化します。

かつて私がお世話になった社長は「世界平和」をビジョンに掲げていました。さすがにこれだけ大きなビジョンであれば、どんなビジネスも包括しますので便利といえば便利ではありますが、もう少し具体性があったほうが周囲の理解も進みやすいと思われます。

ビジョンを描くとき難しいのは、それが本当にその人の心の底から出てきた言葉かどうかが本人さえもよくわからないということです。会社のビジョンであればなおさらです。「世界平和」にしても「これ言っときゃ文句ないだろう」的な思惑が働いた可能性もあります。

個人のビジョンという話で言えば、自分の心ほどわからないものはありませんので、一旦ビジョンの罠にはまると、容易には抜けて出られません。どれが本当の自分のビジョンなのかわからず堂々巡りに入ります。それは自分の心の中を探る作業でもあるからです。

「金持ちになりたい」とか「有名になりたい」といったビジョンであれば、割と心の声に忠実である可能性が高いのです。ところが経営者ともなればステークホルダーの存在を意識せざるを得ませんので、自分本位というよりもステークホルダーに恩恵あるビジョンを掲げる必要が出てきます。ここに個人的な本音と乖離したビジョンが出てくる隙が生まれるわけです。

ビジョンは飾っておくものではなく、その牽引力を使って行動を起こさせるものです。だからこそ実感に沿ったビジョンである必要があります。

では、どうやってビジョンを描くのが良いのでしょうか。私のおすすめはステークホルダーがどうしたらもっと喜んでくれるかを自分の実感をベースに考えることです。冒頭の後継者も、その方法であれば、自分の心の中からビジョンらしきものを探り当てることができるはずです。

それでも見つからないという方は、第三者の視点で探り当ててもらうという方法もあります。そんなときは是非お声がけくださいね。