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第50回 ブランドは一貫性、現場がほころびると崩壊します。

夏休み、暑い暑いと言いながら、あちこちの観光地に出かけられた方も多いのではないでしょうか。私も近場の温泉場ちかくにある、とある有名なホテルに行ってきました。食事と日帰り温泉のセットです。それなりの金額をお支払いしたため、接客にもかなりの期待をしていたのですが、若干期待はずれ、でありました。

期待はずれ、の理由は、接客に感動がなかったからです。こちらの状況を逐一気にかけて配慮してくれるような、一歩進んだおもてなしの様子が感じられませんでした。可もなく不可もなく、あたりさわりのないの丁寧さは、マイナス点はつきませんが、プラス点のつけようもないというもの。

唯一よかったのは温泉場ならではのお風呂のしつらえで、それを考えると、ハードの感動に依存して、ソフト側の充実をあまり重視していないのかなという邪推も出てきます。ここまでしつこく観察する客もあまりいないかとも思いましたが、念のためネットで口コミを見てみると「かつては加賀屋のような高級旅館を目指していたが、いまは、その面影はまるでない」というコメントを発見。同じことを感じている人がいるものだと思いました。

きっと何か内部の事情があるのでしょう、働いている人が今ひとつ面白くなさそうなのにも理由があるのでしょう、と頭の片隅で考えていると、翌日、同ホテルから「ご利用いただいた皆様に、『ありがとうございました』の一言が言いたくて」というメール。さらに重ねて「感謝の気持ちを込めて」と。

メールの発信元はホテルの営業部かその上部組織の管理部あたりでしょうか。現場のそっけなさに照らし見ると、こうした《感謝》のメールですら、顧客リピート化策の雛形をなぞって送られた上辺だけのメッセージに見えてきます。

そこで思い出したのが「ブランドは一貫性」という言葉。私は長らく広告制作に関わり中小企業のブランディングにも数多く携わってきました。そこで強調してきたのは、次のことです。

「広告などの媒体を使ってどんなに素敵なメッセージを送っても、その体現者たる会社の社員や現場の人間が、その通りの行動をしなければ、そのブランドは上辺だけのニセモノになる。そしてお客さんはそのことにきちんと気づく。」

だからこそ、ブランドメッセージを正確に顧客に伝えるためには、そこで働く人のマインドを整え、ブランドメッセージと一貫性を持たせる必要があるわけです。

ブランドで大切なのは、素敵なメッセージやキャッチーなデザインや丁寧な御礼メールよりも、直接、間接問わず全ての顧客との接点で醸し出されるイメージの一貫性。この見えない価値に目に向けられるかどうかで顧客に伝わるブランドの良し悪しが分かれます。