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第49回 期待値がずれると、できる社員もできなくなる。

先日あるところで「意欲が減退しているシニア社員が、会社全体に悪影響を与えている。なんとかする方法はないか」という質問を投げかけられました。

定年年齢引き上げ、再雇用制度の導入など、社員が企業に長く勤められる環境が整ってきました。労働人口が減少の一途をたどる日本において、シニアの活躍推進は不可欠と言われますが、実際のところ現場での調整に頭を悩ますケースは多くなっているようです。

他方、シニア社員が生き生きと働き、組織全体のムードメーカーにもなっているという例も聞きます。こういう会社では、シニア社員の役割を定め、納得して働いていただく仕組みが整備されています。

たとえばシニア社員に若手の育成を委ねる場合があります。今までプレイヤーとして活躍してきた人は人材育成が下手だと言われますが、その理由は育成スキルが不足しているばかりではく、いまだに自分が活躍して成果を出すことに存在意義を見出しているケースが多かったりします。期待役割が変化しているのに、自己認識が変わっていないのです。

問題は経営側にも社員側にもあります。経営側の問題は、シニアに期待する役割をきちんと伝えていないということです。対する社員側の問題は、期待役割が変化していることに気がついていないということです。双方が互いに相手はこちらの意向が分かっているはずと思い込み、相手に対する期待値がずれたたまま、結果として、すれ違いが継続しています。

この問題、実はシニア社員だけでなく、ミドルにも、もしかしたら新人にも起こりうることです。役割について正しい認識がされていないことで、すれ違いが起こり、「あいつは正しい行動をしていない」という非難や「一生懸命働いているのに認められない」という怒りが生まれてきます。互いに分かっているはずという思い込みが招く、些細だけど無視できない悲劇です。

どんなに優秀な社員も、会社側の期待に沿った行動や態度をとらなければ、優秀と見なされません。社員側からすれば、最善のパフォーマンスを発揮しているはずなのに、経営陣からの評価が低い理由がわからず、期待した通りの評価を求めて新天地を探し始めることにもなりかねません。期待値をすり合わせ納得したうえで仕事をしてもらう手間を惜しんではいけない理由がここにあります。