東京事務所

東京都港区南青山二丁目2番15号
ウィン青山1214号

TEL : 03-6271-5826
FAX : 03-6730-9474

第44回 組織を良くしようという純粋な思いを「越権行為」と言って止めてはいけない

先日、とある中小企業の女性リーダーと話をしていた時のこと。話しかけやすいタイプらしく、社内から様々な情報や悩みが集まってきて、さながら社内の情報センターになっている様子。真面目で使命感もある人なので、「組織にとって良かれと思うことは上に進言するのだけれど、『越権行為』と言われて全く取り合ってもらえない」と嘆いていました。

中小の組織の場合、こういう女性が経理を担っていることも多く、お金の面からも組織の実情が良くわかっているため、余計に「いてもたってもいられなくなる」とのこと。

かつての右肩上がりの経済成長期であれば、分業体制を敷いて、各分野のスペシャリストが自分の領域に最適化されたスキルを発揮すれば物事がうまく回りました。ところがこの方式は、仕事は同じことの繰り返しという前提があったからこそ成立していたもの。

時代は大きく変わり、明日、来週、来月にどんなことがおこるか誰もわかりません。しかも消費者ニーズも人材も多様化が進んでいますので、過去の成功ルールを将来に適応して同じ成果が出せることはほぼありません。

この女性リーダーの元に集まってくる情報は、そうした環境の変化と組織の現状とのギャップが顕在化したものです。本来は、そこに真摯に取り組んでいくことが、次の手を考えるベストの方法であるはずなのに、「越権行為」と一刀両断にされてしまっては、組織にとっても大損です。せっかく問題を顕在化させた社員もそしてこの女性リーダーもモチベーションを大いにくじかれ、良いことは全くありません。

「越権行為」と一刀両断する側に視点を移してみると、仕事は計画どおりに進めるべきで、計画外のことが起こるのは、あるいは計画通りに進まないのは、社員の能力が低いという考えがあるのかもしれません。そして、そこで全ての思考が止まります。あるいは「社員教育を徹底して、社員のスキルを上げよう」といった、本質から外れた方向へと発展していきます。

社員は環境の変化に気づいています。そして、自分たちのやっていることに違和感を感じています。その形にならない気づきを拾い上げて形を与え、具体的な行動に素早く移していけるような、そんな組織づくりをしたいものです。