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第126回 誰ひとり取り残さない戦略

ここのところ補助金の問い合わせが増えてきました。中小企業支援関連のホームページをたどって弊社サイトにたどり着き、電話をくださった社長もいらして、ありがたい限りです。

その補助金は6000万まで補助されるという大型のもの。コロナ禍に際して従来型のビジネスから新しいスタイルへと大きく舵を切るにあたり、必要な資金を提供しようという主旨です。

対象は全業種の中小・中堅企業。飲食業がイートインからテイクアウトに転換するとか、ヨガ教室が室内での3密を避けるためにオンラインのクラスを開始するとかいった事例が示されています。

問合せをくれた社長にどんな事業計画を検討しているかを聞くと、「SDGsに関わるもの」という答えが返ってきます。弊社がSDGsに関わる事業をお薦めしているのも一因かもしれません。これまで社会にくすぶっていた課題がコロナ禍によって顕在化し、リセットされた今だからこそ、持続可能な社会への貢献に目を向ける社長が増えているのを感じます。

ある意味、コロナによって、ビジネスで取り組むべき方向性が明らかになったとも言えそうです。

さて、そのSDGsが発するメッセージのなかで、私が一番好きなのは、「誰ひとり取り残さない」です。これまでのマーケティングの考え方では、ある程度の規模が見込める市場に対して商品を投入するというのが王道でした。同じ商品であればたくさん作ったほうが一個あたりのコストは下がるし、作り手も習熟しますので生産効率はさらに上がります。買い手が多ければ販売効率もアップし、チラシや広告などの販促に投入した資金の回収も容易になります。

ところが大多数を相手にしたビジネスでは、必ず取りこぼしが生まれます。過去にはカスタマイズという方法で、取りこぼしに対応してきました。たとえば既製服を買おうとしたら、袖が長すぎたり、丈が短すぎたりしたので、お直しをお願いするといった具合。

SDGsが言う「誰ひとり取り残さない」はもう少し広い意味で使われています。社会の弱者に対して目を向けるという意味です。

先日、移動中の車のラジオで国会中継を聞いていたら、「誰ひとり取り残さない」という言葉がかなりの頻度で出てくるのに気が付きました。「誰ひとり取り残さないために、この政策が必要」とか「誰ひとり取り残さない社会にするために」といったフレーズです。

「誰ひとり取り残さない」というSDGsのコンセプトを貴社のビジネスに適用するとどうなるでしょうか。

とあるタクシー会社が始めた「親孝行タクシー」は、遠く離れて住む老親のためにタクシー料金の何割かを子供が負担する仕組みを提供しています。運転のリスクが高まる高齢者が免許証を返上したあとも、生活の質を落とすことなく暮らせるようにという子供の想いをビジネスで叶えた例です。

ITが苦手な高齢者に対して、スマホやパソコンの使い方を定額で基礎から何度でも教えるパソコン教室があります。ショッピングセンターの中という通いやすい好立地に教室を構え、午前中からにぎわっています。急速に世の中のIT化が進む中で、高齢者を取り残さないためのビジネスです。

社会的弱者は高齢者以外にもいます。たとえば働く時間に制約があるシングルマザー、親の介護が必要な中年の男性、放課後の子供たち。従来の考え方では、非効率な市場として除外されがちだったターゲットです。貴社の業界でも見当たらないでしょうか。

こうした人たちに必要なサービスを提供して、なおかつお金を生む。考えてみればビジネスの基本は顧客の課題解決、つまり人助けです。冒頭の補助金のように支援策は充実してきています。ぜひ一緒に考えましょう。


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