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第116回 会議に突如現れるガラスのカベ問題

ある会社の会議に参加させていただく機会がありました。年齢性別問わず主だった社員が集まって、新しい事業についてのアイデアを出そうという主旨です。

「どんなアイデアでもよいので出せ」と言われて、最初に口火を切ったのは元気のいい中堅。元気よく当たり障りのないことを言っています。次も社歴が長い男性、話す言葉は多いですが、内容はあまり変わり映えしません。

次に順番が回ってきたのが入社3年目くらいの若手。自信なさげではありますが、若者らしい面白いことを言います。賛同の声が上がる一方で、向こうの方から「それはもうやったけど、ダメだった」という太い声が飛んできます。

会社のなかでよくあるパターンです。経験も知識もない人ほど、羽目を外したことを言い、それが意外に的を射ていることがあります。でも、経験のある人ほど受け入れられない。

受け入れられない理由は二つありそうです。一つは、本当に過去にやってみてダメだったという実績がある。もう一つは、そのアイデアが組織のルールの根底を脅かす恐れがある。どちらの理由の場合も、論理的な判断を超えて、聞く側から感情的な反応を引き起こしているように見えます。

否定された側から見ると、それは突如現れたガラスのカベです。意見を出せと言われたから、つたないながらも意見を出した。理由もわからず否定された。否定された根拠がさっぱりわからない。何もないように見えるのに、確かにある超えられないカベ。このカベが無力感を生み出します。

こんな状況にならないように、場のルールをつくっておくということが大切です。場のルールを作っておくとは、発言しやすい雰囲気をつくるということです。ブレストやワークショップの時のグランドルールのようなものを、会議の場でも用意しておきます。

という話を先日、別のところでしたら、「グランドルールを作っても、グランドルール自体を理解してくれない」と悲しげに言われる方がおられました。心中、お察しします。繰り返し伝え、ルールが破られた時点で柔らかく指摘するしかありません。

会議の最中に場をコントロールする役割の人を置いておくことも大切です。参加者が余計なことに気をつかわずに会議のテーマに集中できるようにサポートするということです。

たとえば「それはもうやったけどダメだった」という声が遠くから飛んできたら、ルールに照らしてやめていただくという役割です。また、おかしな発言で参加者が混乱しているようなら、その発言の意図や背景を掘り下げ、全員が理解できるように言葉を補足するという役割。少し前に会議のファシリテータという役割が注目されましたが、あれです。

「働き方改革」がスタートしてから、改めて業務を見直し、効率的な働き方に変えていこうという動きが出てきました。日本のホワイトカラーの生産性は、先進国中最下位と言われるほどですから、よほど不要な仕事で時間を使っています。そういえば、報告事項だけの会議はやめようという声もたくさん聞きました。

前例を踏襲するのはリスクを避ける良い方法ですが、今までになかった新しい発想で未来を輝かせる事業をしたいなら、前例のなかにある盲点を見つけ出すことも大切です。違う角度から光を当てて、浮かび上がらせると、そこが突破口になる可能性があります。

社内の人間だけでは見つからない盲点が、部外者から見ると、「ここだよ」と手を振っているのがわかります。ぜひ一緒に考えましょう。


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