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第101回 新規事業はやりたいが、ほど良いテーマが見つからない

先日の日経新聞に、コロナ禍で利用が激減したタクシーが「料亭の料理を運んで好評」というニュースが載っていました。本来タクシーは人を運ぶもの、物を運ぶのは運輸の業界ですが、需要激減に対する救済策として一時的に許可されているとか。料亭の側もコロナ禍で生まれたテイクアウト需要を満たす宅配機能を、タクシーが担ってくれるというわけで、双方の思惑が一致。

市街地ではUber Eatsなどの新手の運び屋が自転車やバイクで活躍していますが、高級感のある料理の宅配はタクシー利用の方が好まれる、と。経験あるドライバーの礼儀正しさと、風格ある料亭の味はブランド相互のマッチング感も良好。ターゲットは富裕層、一回当たりの宅配料は3000+α円。

コロナ禍の時限措置ではありますが、苦しい状況に置かれた2つの業界が新しい補完関係を作って環境適応している様子にこれからの新しい展開を考えるヒントを感じます。

連日暑い日が続く今年の夏。この夏の暑さをどこかに封じ込めて、冬の暖房に使えないか、とは、寒がりの私が長年妄想してきたこと。この熱をただ放出してしまうのは、いかにももったいない。

広い世の中には同じことを考えている人がいるもので、スイスの研究機関が「水酸化ナトリウムを使って夏の熱エネルギーを保存し、冬に利用できるようにする」研究を進めているとか。タンクに入れて持ち運びも可能ということで、価格が気になるものの、化石燃料を使った暖房が抑えられるのであれば、エネルギー問題にも一石を投じます。

中小企業の社長にお会いしてよく出てくるフレーズのひとつ「新規事業を始めたいが、テーマが見つからない」。AIやロボットやIoTやスマホアプリや、実現するための手段はたくさん提示されているのですが、「それで、何を実現すると事業になるのでしょうか」という問いを投げかけられると、はたと思考がとまります。

タクシーで料亭の料理を運ぶのも、夏の暑さをためておいて冬使うのも、以前であれば一笑に付されたような発想です。それが、ある制約条件を与えられたり、技術的な裏付けが見つかったり、社会環境が変化したりすると、とたんに「あってもいい」ものに変わります。

ただし経営者としてストップがかかるのは、「本当に利益が出るかどうかわからない」という段階で、投資はできないというところでしょう。

補助金にしても、客先からのニーズがある程度、顕在化し、補助金を使えば事業がさらに順調に進むというシナリオが描けた方が採択されやすいものです。

でも、ニーズがあるかどうかは、ある程度、試作品を作りながら顧客の反応を探ってみないとわかりません。ここで「ニワトリが先か、卵が先か」問題が発生します。

デザイン思考とかアジャイル型の開発とかいう考え方が登場したのは、こういった背景があってのことです。いずれも顧客の反応を見ながら、リスクをできるだけ取らずに、ニワトリと卵を少しずつ育てて、前に進むという考え方です。

話を元に戻すと、新しい補完関係が見つかると、新しい事業が見つかるかもしれないというのが今週のコラムの主旨です。そして、その補完関係を見つける鍵は、従来の思考パターンでは、「まったく箸にも棒にもかからない」ため、意識にも上ってこないもののなかにあるかも、ということです。

ビジネスは誰かの課題を解決してお金をいただくものです。その課題が見つかれば、「何」をすべきかが見えてくるはずです。その「何」は、今までの思考の習慣では「あまりにばかばかしくて、意識に上る前に消去されてしまった」もののなかに潜んでいる可能性があります。

スタートアップの事業アイデアの基準は「人に話すときに恥ずかしいか?」だそうです。あまりにばかばかしくて、一見成功しそうもないアイデアの方が、成功にたどり着く可能性が高い、と。

コロナ禍で環境が激変してしまった今こそ、過去お蔵入りしたものを含め、ばかばかしいアイデアのホコリを掃い、新しい補完関係、新しい技術、新しい顧客、新しい〇〇と照らし合わせ検討してみる時かもしれません。ぜひ一緒に考えましょう。


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