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第28回 自己開示の効能

先日、とある企業でリーダー研修をやらせていただいたときのこと。他人に仕事を押し付けて定時で帰ってしまう部下がいるという話題になり、どうすれば当事者意識をもってもらえるかという議論になりました。「当事者意識を持て」と言っても当然、効果はなく、暖簾に腕押しで、同じ状況が長く続いているとのこと。部下の側は、仕事は定時で帰るものといった感じで、自分の仕事はここまでと決めてしまっているので全く悪気はない様子。上司や、仕事を押し付けられる周囲のスタッフはストレスが溜まるばかり。一体どうすればいいのでしょう、と。

一つの解決策は、評価基準を変えるという方法です。当事者意識をもって仕事にあたっているかどうかを何段階かで評価し、点数が低ければ、低い理由を部下に告げて、改善を求めます。部下に対して「望ましい行動をしていない」ことを明示することが一つ目の選択肢です。

二つ目として考えられるのは、相手(この場合は上司や周囲のメンバー)の視点に立ってもらうというやり方です。相手から見て自分はどのように映っているのか、そのように映っている自分に対して相手がどう感じているかを自分のことのように感じてもらうのです。NLPなどのカウンセリング手法でよく使われる方法で、視点をずらすことで、気づきを促し、行動変容を促します。

この際に、上司や周りが「実は本当に困っているのだ」というメッセージを出すことは意外に役に立ちます。相手に対する非難や批判ではなく、純粋な感情の表現であれば、相手に響くものがあります。他人に弱みを見せたくない人、弱みを見せると付け込まれると思っている人は若干の抵抗を感じるテクニックですが、やってみると効果があることがわかります。

仕事の場に人はいろいろな仮面をつけてきます。バカにされたくないとか、できる人に見られたいとか、能力がないことをばらされたくないとか。そういった仮面が本音レベルのコミュニケーションを阻害する要因になることはままあります。仕事を他人に押し付けて定時にさっさと帰る部下も、自分は能力がないと相手に思われてしまうのが嫌なのかもしれません。普段とは一階層レベルの深いコミュニケーションのなかで、安心して自己開示ができるような環境ができると、行動も変わっていくはずです。