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第34回 社員経験のない社長が気に留めておきたいこと

 先日、とある会合で横に座った某社の社長がぼろっとこんな風に言いました。

「私は雇用された経験がないので、社員の気持ちがよくわからず、社員対応全般が苦手で……」。

私自身は人材採用の支援を長らくやり、キャリアコンサルティングにもかかわってきたので、雇用される人の気持ちや望み、会社に対する期待がよくわかります。でも、経験のない人には実感として感じられないことが、改めてわかりました。

これ、実は社長と社員の立場を逆にしてみても、全く同じことが言えます。社長業を経験したことのない社員は、当然ながら、社長の気持ちが分かりません。社長が何を目指して経営しているのか、社員がどうしてくれるのが一番うれしいのか、利益が会社の存続になぜ必要なのか……。社長からしてみれば「当たり前」のことが、社員は全く分かっていないということが多々あるのです。

こんな社長と社員のコミュニケーションギャップを乗り越えるためには、きちんとわかりやすく説明するという行為が必要です。仕事上必要なオペレーションは教えるのと同じように、この会社がどこに向かって何を目指していて、社員に何を期待しているかということをきちんと伝え、社員各自が消化して腹落ちしてもらうことが必要なのです。

経営理念やビジョンなどの明文化された文言を使うことも有効ですが、その意図するものを血の通った言葉で説明したいものです。

心理学の世界では「自己開示の返報性」という言葉があります。自分の内面を開示すると、相手も内面を開示し、会話のレベルが深くなるというものです。

社長と社員の間だけでなく、社員間でもこういう機会を増やしていくと、相互の理解が進み、組織の土壌が豊かになります。豊かな土壌から新しいものが育ちやすいのは、自然界も人間界も同じのようです。