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第33回 残業のジレンマをどう解消するか

 先日、とある社長と雑談をしていたときのこと。「働き方改革でノー残業デーを設けたが、社員は仕事が終わらないので帰れないという。確かに新人が入社したので、通常の業務に加えてイレギュラーで新人に教える仕事も増えているらしいが……」という話が出ました。働き方改革に付随してあちこちで起こっている問題です。残業削減命令と減らない業務量の板挟みになる中堅社員、業務内容がよくわからないので助け舟も出せない社長、先輩から教えてもらえないと、自分の業務が全うできない新入社員……いろいろな要素が絡み合った解決不能問題の典型。多分いままでは誰かが犠牲になって、何とかしのいできたのでしょう。だからといって放置しておいてよいわけでもありません。

 業務の見直しや残業削減のインセンティブ化など、残業を減らす方策はいくつかあります。中でも全員の生産性を底上げするために教育に力を入れるのは有効な手段です。ところが残業を減らすために教育の時間がとれないとなると本末転倒。もちろん業務時間中に教育の時間をとることはできますが、それで教育を担当する社員の通常業務が遅れるようでは、これもまたおかしな話しです。話を聞くと、通常の新人教育では教えない、ちょっとした書類の書き方とかチェックとかに時間をとられてしまうとか。新人の側に、話しやすい先輩社員への依存体質をつくってしまうのも気になります。

 こんな解決不能と思われる問題も、時間や場所を限定すれば解決できることがあります。例えば、家事育児の負担をこうむりがちな女性が、転勤が不可避の総合職に就くことを嫌がるのであれば、転勤のないエリア限定の総合職をつくるといったような解決策がそれにあたります。転勤ありか転勤なしかという二元論ではなく、その中間を行く考え方が、袋小路に入ってしまったような問題に風穴を開けます。

学校教育の影響か、私たちはどんな問題にも正しい答えがあると信じています。ところが人が変われば「正しい答え」も揺らぎます。特に人材の多様化が進むこれからは、「正しさ」のバリエーションも増えてくるでしょう。0か1かの答えを探すのではなく、100%ではないにしろ当面OKという解決策を、関わる人全員の合意の上で作っていく必要があります。