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第18回 本当の働き方改革

石畳と芝生

先日、ある企業の社長と「社員が働く幸福を感じる効能」について話をしていたときのこと。社長が急に顔を上げて「これが本当の働き方改革というんですよね」と仰いました。

働き方改革というと、時短とか生産性向上などのキーワードが脚光を浴びて、「仕事量は減っていないのに残業を減らせと言われる」とか、「仕組みを変わっていないのに効率ばかり求められる」とか、矛盾を抱えたまま「改革」に挑む事業所が多いのではと思います。事情はノー残業デーのときと同じ。ノー残業デーで無理やり定時に帰らされる結果、翌日の残業や週末の休日出勤がかえって増えてしまうという現象と同じことが、働き方改革でも起こっているようです。

とかく人はかたちから入って、「何か生産的なことをやっている感」を自他ともに感じたい性分です。ところが、内部の矛盾や問題点を解決しないまま、かたちを変えようとするので、かえって矛盾が大きくなってしまうことがよくあります。

働き方改革に正面から取り組もうと思ったら、まず、会社を楽しい場所にすることです。誰もが自由に自分の意見を言えて、それが許容され、また、その意見が会社の発展にきちんと結びつくようになっている。そんな仕組みができている会社は、働く人ものびのびと、もともと持っている能力を発揮できます。そして自分の労働の成果がポジティブにフィードバックされれば、自分がそこにいる意義や意味を感じることができるはずです。

「最近の若い人は褒めて伸びる」と言われます。褒められると嬉しいのは、いくつになっても変わりません。一つの物事はポジティブにもネガティブにも解釈できるのですから、ポジティブな解釈を与えることが、人の動機づけを高める大きな要因になります。

そして会社が楽しい場所になることが、生産性アップや業績アップにつながることを、全員のコンセンサスとすべきです。AIが社会に浸透しつつあるなかで、人のやるべき労働の多くがAIに置き換わるといわれています。人に残されるのは、人でしかできない創造的な分野だけです。創造性は、気兼ねなく自分の能力や個性を発揮できる環境でなければ生まれてきません。

働くかたちを変えるのではなく、働く気持ちを変える。そのために、これからの働き方改革は、人の内面をポジティブにできるような環境を整えていくものになるでしょう。