東京事務所

東京都港区南青山二丁目2番15号
ウィン青山1214号

TEL : 03-6271-5826
FAX : 03-6730-9474

第29回 既存商品2.0

先日、あるクライアントと話をしていたときのこと。顧客アンケート調査で意外な商品の人気があることがわかった、というのです。それも既存商品の見せ方をちょっと変えるだけで、お客様ニーズのど真ん中にヒットすると。

ポーターの競争戦略では、市場の「既存」と「新規」、商品の「既存」と「新規」をマトリクスにして、次にとるべき戦略を検討します。「既存市場」×「既存商品」であれば、既存市場をさらに深堀りし、「新規市場」×「既存商品」であれば、新規のお客様に対して既存商品の販売を促進する…といった具合です。

上記のクライアントの場合は、「既存商品」の見せ方を少し変えて「既存商品2.0」に仕立てるだけで、これまでとは異なる「新規市場」にアプローチができるという気づきがありました。しかも「既存商品2.0」は、これまでの商品とも関連性を持っていますので、「既存市場」をさらに深耕する武器としても使え、既存のお客様の生涯価値を拡大する方向にも貢献しそうです。

とかく新規市場を開拓しようというときは、新しい商品開発に目が向きがちです。自社の資源や強みを生かした新規商品の開発は重要な戦略ですが、それと横並びで既存商品やサービスの「衣装を変え、新しい顧客層に訴求する」という視点も役に立ちます。

最近はやりの「顧客インサイト」を活用した事例として、某消臭剤メーカーの商品がよく使われます。「顧客は部屋が臭うから消臭剤を使うのではなく、部屋を無臭の状態に維持したいから使うのだ」という発見によって、商品の訴求対象は「部屋が臭いに困っている人」から「部屋の空気を清浄に維持したい人」に変わり、大きな市場にヒットすることになりました。

既存商品の見せ方を変え、販売への好影響を得るには、顧客の内面に対する洞察(インサイト)が必要です。冒頭のクライアントのように顧客アンケートが有効な場合も多いのですが、年に1回か2回の大規模なアンケートに頼らなくてもやれる方法はあります。それは社員全員の日々の感度を上げるということです。

人はもともと社会的な生き物ですので、他人の心の中は気になります。お客様であればなおさらです。その自然な心の動きに対して規制をかけなければ、感度は自然に上がります。業績に好影響を与える組織づくりのカギとなる考え方です。