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第41回 新入社員が辞めてしまった本当の理由

先日、ある中小企業でこんな話を聞きました。「人材不足で新卒社員が採用できない。やっと採用した2名を大切に育成していたが、結局辞めてしまった」。昨今の採用活動や新人育成の大変さを思うと、心中いかばかりかと、聞きながらこちらも胸が痛くなってきました。何か打つ手はなかったのでしょうか。

人材のミスマッチはよく起こることで、特に新卒の場合は社会人経験もないわけですから、入社してから「こんなはずではなかった」と思うことも当然あるでしょう。事前の説明が足りなかったのか、説明はしたけれども理解するだけの経験値がなかったのか、あるいは新人側が一方的に夢を膨らませていて、現実とのギャップに幻滅してしまったのか。いろいろと理由は考えられますが、本当のところはよくわかりません。

新人側の甘えもあったと思います。景気がいいので、転職先には困らないという事情が退職を後押しした可能性も大いにあります。あわない会社であれば早いうちにやめてしまうというのも、選択としては悪くありません。それにしても、「であれば、最初から入社しないでほしい」と言いたい気持ちにもなります。

そこで、何が起こったかを推測してみました。たとえば、新入社員が2名だったために、この2名が自分たちの周りに防波堤を作って会社の中で孤立してしまったという可能性が考えられます。「最近の若い人は理解できない」と諦めモードで遠回しに接していた先輩たちの態度が裏目に出てしまったという可能性です。もしそれが本当だとしたら、2人だけの島を作らせない方法をとることが対策になります。

以前から「7・5・3現象」といって、中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割は入社から3年以内に辞めると言われてきました。それだけ辞めるなら仕方ないと思う前に、早期に馴染ませる仕掛けをしておく必要があります。ある企業では先輩社員全員がメンター役になって、手取り足取り面倒を見ていると聞きました。「先輩社員の背中を見て育て」と言われてきた40代、50代以上の方には信じられないような現実ですが、かつて「背中を見て育つ方式」が機能していたのは、背中を見て学ぶだけの余裕があったからとも言えます。社会環境は大きく変わってしまっているようです。

ここはベーシックに、つながりを作るところから始めたいものです。新人にとってみれば、先輩社員こそ理解しがたい存在であるかもしれません。双方理解しがたいのであれば、好奇心をもって歩み寄る余地は大いにあります。北風と太陽のどちらをとるかと言われたら、思い切って太陽をとってみる。試してみる価値はあるのではないでしょうか。