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第37回 ベンチャーに学ぶ外向きのエネルギーを作る方法

先日、ある会社のマネージャーと話をしていた時のこと。「うちの会社はだれかが何かを率先してやろうとしても、絶対協力しない人がいる。成功しても褒められないが、失敗するとそれみたことか、と陰口を言われる」と、愚痴めいた話が出てきました。長く続いている組織にありがちな一面。特に上から下への管理が強かったり、みんなが批評家だったりすると顕著に表れてきます。

この理由、実は、組織に属する人の真の目的が、自分を守ることであったりします。組織の目的を追求するそぶりをしながら、自分のプライドやポジションを守る方に力を割く人が多いと、こんな風になってきます。エネルギーは中へ中へと向かい、フラストレーションがたまっていきます。

ところが設立したばかりで夢や勢いはあるけれど、事業も売上もまだ覚束ないベンチャー企業を見ると、事情はだいぶ違ってきます。彼らにとってみれば、なんとか資金を調達し、顧客を捕まえることが最優先課題であるため、内部でしめやかに争っている暇はなく、とにかく掲げた目標に対して突き進んでいくしかありません。もちろん裏切りやトラブルは起こるわけですが、そこに深くかかわっていくよりも、前に進む方を優先しないと、生きていけない事態になります。つまりエネルギーは外に向かって発散するしかないわけです。

組織として生きていくことを最優先にすれば、内紛している暇はないことは自明です。USJをV字回復させた森岡毅さんが著書のなかで「多くの会社の最大の問題は、人体で言うところの「神経伝達回路」が破壊されてしまっていることです」と書いています。組織内部で分断があると、必要な情報は循環せず、顧客や利益の獲得に費やすべきエネルギーは、よくて内部のコンフリクトの解消に使われるだけです。

このような事態を招いたのは経営が安定した結果ともいえるのですが、危機的状況にある企業でさえ旧時代に属するエネルギーの内向性を抱えたまま、表面的な戦略の変更や調整によって急場を凌ごうとしています。本来手を入れるべきは、もっと奥深くにある人の認識や価値観に関わるところであるのに、です。

この問題は根深くて簡単には解決できないのですが、社長や部門長など上に立つ人が、このようなエネルギーの構造をつまびらかにし、会社の存続と社員の生活を守ることを目的に協力を呼び掛けるという方法は多少の改善策になります。同時に全体の目標と個人の目標に関連性をつくり、外向きのエネルギーを呼び覚ます仕掛けが必要です。

ベンチャー企業にいて面白さを感じるのは、他の誰もが手掛けていない事業に初めて取り組むワクワク感や、社内の誰もが初めてのことに直面するため経験や年齢にとらわれずに自由に発言や行動できるといった自由な空気に取り巻かれているからでしょう。年月を重ねた企業であっても、外的環境の変化を引き金にして同じ状況を作っていくことは可能です。ただしそのためには過去の分業体制や年功序列に付随して深く染みついてしまった慣習や考え方をいったんクリアしていかなければなりません。