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第204回 こだわりが先か、ニーズが先か

先日、お会いした若き経営者のお話し。ご自分のこだわりを貫いて事業を始めたが、思ったように売上が上がらない。商品を評価してリピートしてくれるお客さんはいるが、次の投資ができるほどの利益はもたらしてくれない。自分のこだわりの強さはよくわかっている。周囲がいろいろとアドバイスしてくれるけれど、今一つ乗る気にならない。どうすればよいのでしょうか?というお悩みです。

これ、結構、普遍的なお悩みで、いろいろなところで目にします。私もブランディングなどの話をするときは、「こだわり」は大切という言い方をしますが、そのこだわりも度が過ぎると、お客さんが振り向いてくれない事態に陥ります。困ったことに、こういう事態に直面して、ぐいぐい押していっても、お客さんは決してお財布を開いてくれません。どこか別の角度から、お客さんの気持ちをくすぐることを、お金を出してもいいよと思うようなことを探っていく必要があります。

なので、いったんは、「こだわり」をわきにおいて、お客さんが何を求めているかを見ていく必要があります。それは、すごく些細なことで、お客さんの会話の端っこに少し現れるだけかもしれません。そこをつかまえて、少し深堀りをして、「こういう風にしたら、お客さん、買います?」みたいに畳み込めると、ちょっと可能性が出てきます。

データベースマーケティングが世の中に登場したころは、お客さんの購買履歴から、一緒に購入される可能性の高い商品をはじき出して、一緒に店頭に並べておくということが流行りました。ご存じの方はご存じの「金曜日の夜はビールと紙おむつが一緒に売れる」というやつです。だから、スーパーマーケットなどでは、ビールと紙おむつという全く違う種類の商材が同じ場所で売られていたりして、ついで買いを誘うわけです。

これなどは、お客さんの購買行動にだけ着目して、こちらサイドの「こだわり」はと言えば、お客さんが求めるものをできるだけたくさん提案するという一点に集中しています。決して、セレクトショップのように選び抜いたビールを提供することに価値を置いているわけではなく、視点はお客さんの隠されたニーズの発掘にあります。

冒頭の経営者の方もそうですが、既に、お客さんの求めるものがわかっている、ということがよくあります。ところが、それが自分のこだわりや、できること、と矛盾しているので、気づいていても、気づいていないふりをしていたりします。

それをやったら、自分のこだわりが崩壊してしまうかもという怖さがあったり、1回その方向に踏み出してしまったら、もう後戻りできないのではないかという二重の恐怖もあったりして、見なかったことにしてしまう。

今の事業で十分な利益が上がっていれば、わざわざ余分なところに目を向ける必要はありません。でも、いずれ、今の事業も先細ります。環境変化の激しい昨今は、いきなり需要がなくなるということもあり得ます。であれば、ちょっと見えてきた新しいニーズの方面に少し関心を向けてみる意義は大いにあると感じています。

「でも、私のこだわりに反するのです」という声なき声も聞こえてきます。

ここは「こだわり」の中身を検証してみる必要がありそうです。それは、どうしても守らなければいけない自分のアイデンティティみたいなものに根差しているものなのか、それともただ単に感情的にやりたくないだけなのか。

感情的にやりたくないというのも大切なのですが、その中には、「他の人よりうまくできないからいやだ」とか「慣れていないので恥をかきたくない」みたいな気持ちも混じっていたりして、実は場数を踏めば解決できたりするものだったりします。特に若い方が年配のお客さんに対するときは、多少、未熟だったり不得手だったりしても、ある程度許されてしまう部分がある。それが、お客さんの自尊心を満たしたりして、リピート化を促す要因になったりもするわけです。

ポイントは、二律背反的な思考に陥らないこと。つまりは、こだわりとお客さんのニーズはどちらか一方しか手に入れられないのではなく、両方を満たす方法があると信じることです。信じれば、そういう思考になります。道は見つかりますよ!


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