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第197回 事業の広がりを作るために必要なもの

とあるところでお会いした経営者の話です。何年も続けてきた事業に行き詰まり感を感じているが、どういう方向に足を踏み出せばいいかわからない。売上も頭打ちで、本来なら新規事業に踏み出していくべきタイミングなのだけれど、ピンとくるアイデアが浮かばない。どうしたものかとお悩みのご様子です。

「競合他社がやっていることで気になることはないか?」とか、「何の制約もないとしたら、何をやりたいか?」とか、色々な角度から質問を投げてはみるものの、確たる返事がかえってきません。それで、「10年後にはどんな会社にしていたいのですか?」と聞くと、「そこが悩みなのです」というお答えです。

要するに、ビジョンが描けないのです。目の前の仕事というかルーティンワークは尽きることなく繰り返されるわけですが、その先に何をしたいか、どうありたいかという未来のイメージがない。どうやらそれが行き詰まり感の原因のようです。

なぜビジョンがないと現状に行き詰まってしまうのか。

事業をめぐる環境はどんどん変化します。同じことを繰り返していれば、やっていることの中身は古びていくばかり。お客さんも飽きてきますし、うまく行っているビジネスほど真似されることも多くなります。そしてだんだんと新鮮味がなくなり、先細りになっていく。その時にビジョンなり自分の目指すゴールなりがあれば、その実現のための次なる手段がアイデアとして出てくるはずです。

料理で人を幸せにしたいというビジョンを持つ人がレストランを経営していたけれど、コロナ禍で客足が途絶えてしまったとします。でも、料理で人を幸せにしたいのなら、レストラン以外にやれることはあります。たとえば、人を幸せにする料理を教える教室を始めるといった具合です。一見すると全く違う業態ですが、ご本人のなかでは一貫しています。一本筋が通っている。しかも、料理という強みが転用できるので、幸先良いスタートが切れそうです。

サイモン・シネックという方が唱えた「ゴールデンサークル」では、WhyとHowとWhatが三層階層になっていて、優れたリーダーはWhyから行動を起こし、人を巻き込むと説きます。事業についても同じで、一番大切なのはWhy。そして、レストランとか料理教室とかいうWhatは、その実現のための手段なのです。

なぜ、あなたはその仕事をするのですか?

なぜ、あなたはその仕事をしないといけないと感じるのですか?

この問いを裏返すとビジョンになります。

私(当社)はこの仕事を通して◯◯◯を実現したい。

私(当社)はこの仕事を通して◯◯◯な社会に貢献したい。

以前、ある起業家に「あなたのビジョンを言葉にしてほしい」と言ったところ、「ビジョンなど誰が考えても大体同じものになる。そんなものに意味があるのか?」と逆に質問されたことがありました。

ビジョンにはいくつかの役割があって、その中でも大切なのは、関わる人の意思を束ねるという役割です。ビジョンを語るリーダーのもと、組織は団結しやすい、これは事実です。

とすると、ビジョンで語られる文言には共感性や社会性や、多くの人が「いいね」と思う要素が必要で、だからこそ、「誰が考えても似たようなものになる」という現象が起こるのではと思います。幸せや顧客満足や、最近であればサステナビリティや持続可能性などの言葉が入りがちだからです。

でも、それが本当に経験を踏まえた上で、その人の内から湧き上がってきたものであるならば、他人のそれと似ていたとしても、きちんと役割を果たすはずなのです。

納得できるビジョンやゴールがあれば、環境が変わったとしても、やるべきことは見えてきます。全力を投入できることが見つかれば、あとはお客さんのニーズにどのように合わせていくかという段階に入ります。何事にも順番があります。ぜひ一緒に考えましょう。


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