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第182回 必要を発明の母にする第一歩

先日、テレビのニュースを何気なく見ていたら、「住宅街の近くに物流倉庫ができた」というトピックが流れてきました。コロナ禍に突入して以来、活況を呈する宅配業界。消費のメインステージがお店からネットに移るとともに超忙しくなったお仕事です。そういえば、うちの事務所の周囲にも頻繁に宅配便のトラックが回ってきて、大小さまざまな荷物をあちこちに届けています。

宅配業界の忙しさというと、ドライバーさんたちが荷物を抱えて走っている姿を思い浮かべます。ところが、もうひとつ忙しいお仕事がありました。それが物流倉庫での内勤。荷物や伝票を整理したりする仕事かと思います。

このニュースは、物流倉庫内で働く人材不足に悩んだ会社が、住宅街の近くに物流倉庫を作って近隣の人たちをパート社員として雇いやすくした、というお話し。

物流倉庫と言えば、交通の要所である、高速道路のインターチェンジ付近など郊外にあるのが普通です。大量の荷物を保管し、何台ものトラックが出入りするわけですから、土地も確保できるし、交通事故の危険も少ない郊外のほうが立地としては適している。で、インターチェンジ付近にあるというのは、かなり納得のいく風景で、私などは全く疑問を抱いていませんでした。

ところが、こと「人材確保」という観点で見てみると、郊外にあるということがハンデになっていたわけなのです。

だから「配送の利便」よりも「人手の確保」を優先して住宅街近くに倉庫を設けた。さらには、地元のコミュニティに溶け込めるようにとカフェなどの人の集まりやすいおしゃれな施設も併設した、というお話し。

物事には必ず良い面と悪い面があって、あちら立てればこちら立たずという状況がよく生まれます。そして、ある時点では「あちら」が立っていたのに、環境が変わると「こちら」の方が立つといったこともしばしば。

だからかつては「住宅街に物流倉庫」など選択肢としては「最悪」であったものも、人手不足が深刻化した現在では「ナイス」な選択に代わり、ニュースにも取り上げられて抜群なパブリシティ効果を発揮した、というわけです。

まさに「必要は発明の母」。昔ながらの常識を小気味よく脱却するうえで、人材不足という切羽詰まった「必要」が役に立ちました。

さて「必要は発明の母」の類義語を調べると「窮すれば通ず」が出てきます。意味は「最悪の事態に陥ってどうにもならなくなると、かえって活路が開けるものだということ。」想像するところ、「必要」の度合いがほぼマックスになると、今まで勝手に思い込んでいた制約がはずれて、新しい解決策が浮かび上がってくるということらしい。

人の頭に刷り込まれた常識というのはとても根強くて、それが変化しうるものであるということにすら気づかないことがあります。息をするのが常識であるのとほぼ同じ感覚で、「物流倉庫は郊外にあるべき」と思い込んでいる。こういうこと本当にたくさんあって、それを打ち破る事例が出てくるたびに、「その手があったか」と膝を打つ次第です。

私たちが目にするのは、当事者の皆さんが考え抜いた末の結果の断面です。だから、その過程を推測するのは難しく、同じように常識を超える発想をしようとしても一筋縄ではいきません。とは言え、世の中にはたくさんのアイデア創出法が提供されていますので、これら先人の知恵を使ってみるのも損はありません。

大切なのは、違和感を受け入れることです。脈々と受けつがれてきた「常識」だからといって鵜呑みにするのではなく、その周囲に感じる違和感に自分で気づくことだと思います。「常識」も環境の変化によって「常識」ではいられなくなる時が来ます。それに気づけるかどうか。これが「必要を発明の母」にするための最初の一歩となります。

「必要」とは「課題」であり「不足」であり「ビジネスチャンスの糸口」だからです。

ざわざわと感じる違和感から出現しつつある「必要」を見つけて次の一手を打ちましょう。誰にでもできる「発明」をぜひご一緒に。


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