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第177回 「さよならSDGs」にはまだ早い。

ここのところのSDGsブームに少し辟易して、「SDGs」という言葉を使うのを控えていましたが、やっぱり面白い商品にはSDGsが紐づいていることが多い。久しぶりにSDGsのお話しをします。

少し前から現れ始めた「食べる容器」、ご存じでしょうか。コーヒーを飲んだ後のカップが食べられるとか、お惣菜を食べた後のお皿が食べられるとかいう、あれです。考えてみればソフトクリームのコーンは昔から容器であり食べ物でもあったわけで、それと同じことが広がりつつあるらしい。

そこで問題になるのが、コスト。紙製のカップであれば世の中に多数あふれていて安いものも選べます。が、食べられるカップなどまだ少数派。しかも食材を使って作られていますから勢いコストは高くなります。「その値段で買いますか?」という問題が必ずついてきます。

ペットボトルをリサイクルしたスニーカーやTシャツやらも、チープな素材のわりに1万円札が何枚か必要です。漁網や古タイヤを使ったバッグも、芸術的ではありますが、やっぱり高い。もったいない精神が染みついた昔ながらの日本人にはなかなか手が出せません。

2000年前後に生まれたZ世代と呼ばれる若者は、この手のものに感度が高い、と言われていて、確かに購入の手を伸ばすのもこの世代であるらしい。しかし、高いものは可処分所得の高い人に売るのが定石。彼らが収入の少ない若者であるうちは、大量消費は望めません。しかも結婚して、子どもができて、生活費やら教育費やらがかかるようになったら、さらに厳選消費志向に向かうと考えられます。つまり、高いものをやたらに買わなくなる。

でもそれが既存商品よりもちょっとだけ高いものだったら? 話題性もあわせて意外に買う人もいるのは……と思っていたら、ありました「信玄餅」。

山梨に旅行に行くと必ず目に付く、黒蜜をかけて食べるキナコ餅。このプラスチック容器を最中の容器に変えたというのです。最中ですから当然食べられる。お値段は3個700円。普通の信玄餅が2個で350円くらいですから、結構高い。

でもこれが売れているらしいのです。ホームページを見ると「昭和43年にお客さんから言われたリクエストをやっと実現した」もので、なんと販売は「おひとり様3個入り1箱まで」。限定商品の香りも漂ってきます。

昭和43年に容器の最中化が実現しなかった理由は、やはりコストだったようで、法外に高い信玄餅は誰にも見向きされなかった。ところがこの年は結構な好景気に沸いていました。つまり人々は楽しく消費していたに違いないのに、通常の3倍価格の信玄餅は売れなかったのです。

考えてみればわかりますが、昭和43年当時の人は、だれも、食べられる容器、捨てる必要のない容器の価値を理解していませんでした。価値を感じないからお金を払わない。だから売れない。

でもそれから半世紀たった今、捨てない容器は大いに意味を持つようになりました。SDGsとか環境保護とかいう文脈が消費のなかに入ってきて、しかも、「映え」も加わって、価値あるものになったのです。

でも、また、ここで心配が首をもたげます。このSDGs騒ぎもいずれも終焉を迎えるのだろうと。

でも、とまた思い直します。

でも、恐れることはない。SDGsは人や社会が掲げるポジティブなビジョンの一つ。そのほかのビジョンがあってもいいし、多くの人が共感するビジョンであれば、再び消費のけん引役になりうるのだと。

いっそSDGsブームが速く去って、次の美しい、人を幸せにするビジョンが、もっと密かに、目立たず、でも確実に浸透してほしいと思います。そうすれば、一過性に終わることなく、生活や私たちの考え方や会社の在り方の底辺にずっとい続けることができるはず、と。

「さよならSDGs」みたいになりましたが、まだ、さよならしてません。少なくとも、広告やPRのレベルではなく、コンセプトのレベルでSDGsはすごくいいことを言っているからです。すごくいいこととは……? 弊社主催のセミナーで解説しています。ぜひどうぞ、ということで最後は宣伝で、おしまい。


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