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第173回 キレイゴトと現世ご利益の共存法

新年1月3日の日経新聞の一面に「「心の資本」は十分ですか」という記事が掲載されていましたが、ご覧になりましたか? 

今までも何度か同じような主旨の記事は掲載されていたのですが、年の初めにこんなに大きく掲載されたのをみて、時代はここまできたかと一種の感動を覚えたのは私だけではないと思います。

記事にあるのは、日立製作所の子会社が開発したスマホのアプリから、その人の心の状態に応じたメッセージが届くという企業向けのサービス。お疲れの社員にはリフレッシュを、お怒りモードに入っている社員には思考の転換を促すようなメッセージが流れる、というものです。

なにも慈善事業的に社員を幸せにしようというものではなく、人は幸せな状態である方が生産性が上がるという研究成果に基づくサービス。そして、これが本格的に職場に実装されつつあるということなのです。

「衣食足りて礼節を知る」という言葉の通り、人は基本的な欲求が満たされなければ他人の幸福など考えられるものではありません。ところが、この幸福研究の文脈では、「礼節を知るから衣食が満たされる」という発想の転換が根底にあります。

働く人が幸せなら、会社が儲かる。

もちろんこれが成立するためには、幸せ以外の要素も整えていく必要があります。そして即効性がないことの成果を信じて進むためには、信念のようなものが必要になってきます。

でも、私を含む大抵の人は聖人君主じゃありません。自分に利のないことをいつまでも続けていられるほどの忍耐力も持ちあわせていない。

利他と利己は裏表の関係と言いますが、利他的な行動による精神的な満足感が得られたとしても、そこに現世的なご利益(つまりはお金とか賞賛とか)がついてこないと私などはたぶん継続できません。

かといって、この志とか理念とかコダワリみたいなものが全くない人に仕事を頼もうと思うかというと、またそこにも疑問符がつきます。

というわけで結局のところ、長い目で物事を見られるかどうかが分かれ目となってきます。

薬に即効性と遅効性があってそれぞれのメリットを使い分けるように、私たち中小企業や一人ひとりの働く人も即効性と遅効性の戦略や計画を持って仕事をしていくのがよいようです。

そして理想的には即効性と遅効性の間に関連性があること。さすれば目の前のご利益を積み重ねていくことで、あるべき未来に到達しうるという理屈になります。

結構抽象的なお話しになりましたが、申し上げたいのは、「人を幸せにすれば会社が儲かる」的な因果関係は本当っぽいけど、ちょっとキレイゴト過ぎない?と思われる方は、とりあえずその手の考えを時間軸の先の方におき、その一方で、手元の仕事を回しながら利益を出していくという二段構えの思考法をしませんか、ということです。

人はカスミを食っては生きていけません。多くの社員を抱える経営者であれば、なおさらです。でもカスミを食うことで得られる共感もあります。その行為でお客さんも社員も惹きつけられるとしたら、それは無形の財産でもあります。

同時に明日のご飯を稼ぐという即効性の行動をやっていくことで、お金という有形の資産を築いていきます。

経験豊富で寛容な方を指して「清濁併せのむお人柄」などと言ったりします。この長期のキレイゴトと短期のアキナイを同時に、矛盾することなく実践できるのが、そういう方なのかもしれません。

宮沢賢治じゃありませんが「そういう人にわたしはなりたい」ですね。


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