
とある仕事でご一緒させていただいた社長のお話しです。
この社長、とにかく、やることがはやい。「必要な資料があったらどんどん言って」とおっしゃるので、10項目のお願いを出したところ、翌日にはお答えが返ってくる。もちろんすべての答えは揃っていないのですが、「まだのものは、〇〇日までに揃えます」というコメントがついてきます。
実はこの方、ある分野で「知る人ぞ知る」という社長であるらしく、「さもありなん」と思ったわけです。
何が「さもありなん」かというと、その熱量の高さと真摯さが、尋常ではないのです。
私に対しても「私にはあなたの分野の能力はないので、私のできることを精一杯やらせていただきたい」と仰られる。つまりは、こちらが恐縮するほど腰が低い。
こんな風に言われると、こちらも身が引き締まる思いです。この人の信頼に応えなければといつもにも増して力が入ります。
「ああ、こうやって、いろいろな人を巻き込んで、大きな仕事を成し遂げてこられたのだな」と思いました。そして、そんな行為を意図せずして自然にできてしまう才能を、正直うらやましく思いました。
私のような凡人は、他人の協力を得て何かをしようというとき必ず、どうしたら協力してもらえるかを考えて画策します。どの角度から言えば快く力になってくれるか、どういうとまずいのかをあれやこれや考えた挙句、裏目に出ることさえあります。
そういうことの一切ないストレートな志の高さと、ある種の温かさを感じたのです。
こういうふるまいを、余人にまねのできない「天賦の才」と言って片づけてしまうは簡単ですが、せっかくなので、その才能を分解して再現可能にしてみようと考えました。そして、出てきたのが、天賦の才を構成する次の3つの要素です。
①やりたいことが明確にあること
②それが世の中の役に立つという強い思いがあること
③全体の中の自分と他のプレイヤーの立ち位置をよく理解していること
それぞれについてもう少し詳しく見てみます。
①やりたいことが明確にあること
やりたいことが明確にある人は、幸せです。世の中の半分以上の人は、明確に何をやりたいかを言えないのではと思います。そういう方に会ったときに私は、自分の経験も踏まえてこう言います。「嘘でもいいので、作ってください」
②世の中の役に立つという強い思いがあること
本当に役に立つかどうかはやってみなければわかりません。だから「思い込み」が必要なのです。思い込みに必要なのは、それが必然であるかのような「意味づけ」、もっともらしい理屈です。およそ世の中に存在する「意味」は、誰かが作ったものです。
③全体の中の自分と他のプレイヤーの立ち位置をよく理解していること
俯瞰する視点を持っていることも大切ですが、もしかしたら、きちんと自分の弱みを見せて、他の人の力を引き出す作用を及ぼしているのかもしれません。
「なぜ弱みを見せあえる組織は強いのか」という本もありました。弱みを見せあえば補完しあえる、よって強くなり、目的達成もしやすいという構造です。
というわけで、天賦の才も分解すれば、凡人にもマネできるようになる。そして成果を生むことも夢ではありません。私も頑張ります。
※「中小企業のサステナブルブランディング 3大戦略セミナー」リニュアルして3時間バージョンで開催します。12月15日(水)東京会場。詳細・お申し込みはこちら。
※弊社代表村木が執筆した「中小企業のサステナブルブランディング ~SDGsを活用したマインドシェアNo.1ブランド構築の具体策~」アマゾンで発売中。
※個別コンサルティングのご予約が当サイトからできるようになりました(PayPal支払い)。ご利用ください。
※社員満足と顧客満足を循環させるES-CSチェーンについてのコラムを配信しています。ぜひご登録ください。