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第162回 中小企業の人材採用とSDGs

「本当に驚いたのですが、今までゼロだった新卒採用がSDGsを打ち出した途端に11名も採用できたんですよ」

先日、SDGsを経営方針に取り入れて活動をされている中小製造業の役員さんと話をしていた時に出てきた言葉です。

思い起こせばコロナ以前。中小の製造業は人不足に悩み、人材採用広報にお金をかけ、結果として採用ゼロという憂き目にあっているところが多かったのです。ところがウイズコロナの時代に入りつつある現在、いちはやくコロナ禍の打撃から立ち直った製造業では既に人不足感が出てきていると伝えられます。

私の周囲にもそういう企業が多数あります。素晴らしい技術を持っていて、顧客からの評価も高いのだけれど、学生の目から見ると事業が地味で、そもそも学生の目に留まらない。

かつて人材採用を支援していた立場からすると、その状況は非常によくわかります。

今もあるかどうかわからないのですが、某人材採用情報会社が、学生の企業イメージ調査をしていた頃がありました。この調査結果として上位にランキングされるのは、ほぼ大企業。しかも消費財を持っていたり、全国にネットワークを持っていたりして、学生の目に留まる著名企業ばかり。

ときにテレビドラマでパイロットが主役になれば、航空会社の人気が高まるといった具合に、メディアの取り上げ方いかんで、学生の人気度は大きく変わっていたものです。

いくらその会社が業界トップの技術力を持っていても、事業ビジョンが素晴らしくても、中小製造業の人材採用は難しい、この認識はかなりのところ常識化していました。

ところが、冒頭の会社のように「SDGsに関わる社内の活動をPRし始めたら、学生の人気度が急激に上がった」という現象が現れているのです。

確か1990年代から世の中に現れてきたCSR活動や社会貢献活動、ワークライフバランスや女性に優しい福利厚生制度の打ち出しにも同じような効果がありました。つまり、社会に役立つ仕事、社員に優しい会社のイメージは、学生に対する訴求力が高い。就職したい企業候補として視野に入ってきます。

SDGsにもそれと同じことが起こっているわけです。

SDGsを推進する立場としては諸手を挙げて喜ぶべきことですが、冒頭の役員さんがこんな風に付け加えました。「ちょっと危険だなと思っているんですよ」。

はい、私もそう思います。

CSRや社会貢献活動と同じ土俵でSDGsを認識しているとしたら、キレイゴトの範疇に収まってしまう恐れがあります。つまり、NPOのように利益を追求せずに良いことを追求する会社に学生たちは魅力を感じているということです。

実際のところ、昨今では、NPOであっても、収益事業をやって自律的に運営をしていくことを求められています。寄付やボランティアに頼って行う事業は、悲しいことに継続性がないのです。いくら美しい事業であってもお金がなければ続かない。

というわけでSDGsを語るなら、利益を念頭に置いて語るようにしたいものだと改めて思った次第です。フェアトレードだって、生産者に利益を残すからフェアなのだし、フェアトレード商品を扱う事業者にも利益を残さなければ成立しません。

かつて二宮尊徳は言いました。

道徳なき経済犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

このところのSDGsブームで、道に花を植えるとか、ごみを拾うとかいった、どう見ても純粋な社会参加活動までひっくるめて「SDGs」とラベルが貼られるケースが増えてきました。そしてさらに「まずい」という感覚が募っています。

いっそSDGSという言葉を捨てて、コンセプトだけ引き継ぐ考え方をした方が良いのかもしれません。

ともあれ、根底にある志に共感する方を引き続き応援していきます。一緒に考えていきましょう。


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