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第130回 ビジョンを作成するときに重視したいポイント

そろそろアフターコロナの新しいビジョンを打ち立てる必要が出てきたという社長も多いのではないでしょうか。その兆しは以前からあったけれど、ここに来て必要性が増大してした、と。

以前、コピーを書く仕事をやっていた私は、よく会社のビジョンを表現するキャッチフレーズを考えるよう依頼されました。社長が交代したり、組織のマインドセットを変えたいときなどです。

依頼されれば頃合いの良いフレーズを作ることはできましたが、それはまだ初期の段階。会社の中で、構成メンバーの判断基準の一端として使えるようになるまでには時間と仕掛けが必要です。

ほとんどの会社には玄関ロビーの周辺に「ビジョン」や「経営理念」と言ったものが貼り出してありますが、その意図するところを自分の言葉で説明できる社員に出会うことはあまりありません。主たる理由は、そうなるような機会が設けられていないこと。

有名なピーター・センゲの「学習する組織」の解説をされている小田理一郎氏が、望ましいビジョン(この場合は「共有ビジョン」)のあり方として「そのビジョンは、道路の真ん中に立った子供を助けにいくほどの衝動を感じるか」と説いていました。そのくらい止むに止まれぬ衝動を誘うような言葉であり表現であることが、ビジョンの条件と。同時に、極めて個人的な動機と紐づいていないと人を動かす力にはなりません。

さて、私は、以前、業績が良くて働く人も幸せだと言っている会社の共通項を研究したことがあります。SDGsで言えばゴールの8番目にある「働きがいも経済成長も」を実現している企業では、どんなことが行われているかを調べたものです。

働きがいもあって成長もしている会社の共通項はいくつかあったのですが、その筆頭が「統一されたビジョンがある」ことでした。

それもただ「ある」だけではなく、構成メンバーに「腹落ち」しているという状態になっていました。ビジョンを作って壁に飾っておくだけでは、こうはなりません。きちんと「腹落ち」するような仕掛けがしてあるということがわかったのです。

ビジョンは、言葉を作れば浸透するものではなく、ビジョンカードを携帯すれば浸透するものではなく、ましてや額に入れて飾れば浸透するものではないのです。しかるべき手順で浸透策を検討し、実践する必要があります。

ビジョンや理念が上手に浸透している企業では、それらが不測の事態に遭遇した時の判断基準になっています。いちいち上司に判断を仰がなくても、一人一人が概ねストライクゾーンに入る判断ができるようになります。これは社長や上司の労力の節約になります。その分、ボスは一段上のレベルの意思決定業務を行える、というわけです。

もう一つ、確たるビジョンが浸透していると、異分子を弾き出す効果があります。同じ方向を向いている人たちのなかで違和感を感じ、居場所を変えようと考えます。

ある会社では長い期間をかけてビジョンを言語化し、浸透させていきました。結果として、ビジョンに賛同する人が会社に残り、そうでない人は一人また一人と抜けていきました。さらに、組織のビジョンがまとまると、顧客の質も変わった。クレーマーのような歓迎されざる客が減ったといいます。

こうなるためには時間と仕掛けが必要です。ぜひ一緒に考えましょう。


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