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第129回 SDGsのバッジは絶対つけない

「いや、私もSDGsは素晴らしいと思っているんですよ。でもあのバッジは絶対胸につけない」

先日、お会いした女性との会話のなかで出てきた言葉です。言ったのは彼女。そして私も強く頷きました。

私はSDGsの17のゴールを手掛かりにして、中小企業の皆様に持続可能な経営をお薦めする立場です。だからSDGsの素晴らしさはよくわかっているつもりです。貧困の問題も水の問題も、遠い国の話しではなく、身近な問題として捉えることができます。ジェンダーの問題は日本でもつい最近、ホットな議論が沸き上がりました。

こうした問題の解決は一筋縄ではいかないから、関係する人たちがパートナーシップを組んで利害関係を超えた解決策を見つけ出します。そしてそれをビジネスにして、利益を循環させ、持続可能性を担保しようというのです。それは社会の持続可能性だけでなく、自社の持続可能性にもつながるはず……。

こんな風にSDGsでうたわれていることは素晴らしい。中小企業がそれを活用することのメリットは本当にたくさんあります。(それについては近々に出版させていただく書籍に書きました)

でも、それをアイコン化したバッジを胸につけるにはどうしても抵抗がある、のです。

その理由を考えてみると、実に日本人らしいメンタリティが自分のなかにあることを発見しました。すなわち「秘すれば花」。要は、「みんなに黙って良いことするから、良いんじゃない?」という考えです。だから、「わざわざバッヂつけて、やっていることを誇示しなくても……」と思考はめぐるのです。

他方、バッジのメリットを考えてみると、「わかりやすさ」があります。「あ、あなたもSDGsのいずれかのゴールを目指して何か活動されている方ですね」と話がしやすくなります。これはパートナーシップを構築するうえで有効です。なぜならSDGsの活動にはパートナーシップが不可欠だからです。

とすると、もしかしたら日本人的なメンタリティがSDGsの活動を推進していくうえで障害になる可能性があるかもしれないということになります。

「秘すれば花」か「パートナーシップ」か。

ここでちょっと引いて見てみると、私たちが慣れ親しんだ二律背反すなわちトレードオフの思考のワナがあることに気づきます。2つの選択肢を与えられたら、どちらかをとらなければいけないという思考のパターン。テストの選択問題を解くときも、一匹しか飼えない猫を選ぶときもそうでした。

対してSDGs的な思考方法は、AかBかのどちらかをとらなければいけないのではなく、AもBもどちらも満たす第三の答えを見つけるというものです。

大方の物事は、片方が上手くいくと、もう片方で悪いことが起こっています。

アマゾン流域の住民が生活のために熱帯雨林を伐採したら、地球温暖化が進んで、大規模な森林火災が起こってしまった、とか。女性活躍を推進するために積極的に女性を登用したら、晩婚化が進んで出生率が下がった、とか……。

こんなことはたくさんあります。会社のなかにもあるでしょう。たとえば一人の人が抜群の成績を上げたので褒めたたえたら、他の人がそっぽを向いてしまった、とか。

どこかをプラスにしようとすると、どこかにマイナスの影響が出てきます。だから全体を視野に入れて進める必要があります。

では「秘すれば花」と「パートナーシップ」の両方を満たす第三の答えとは何でしょうか。両方を含む全体を見ながら、どんな「第三の答え」を出せるでしょうか。

たとえば、バッジというわかりやすいアイコンを使わずにパートナーシップを築く方法を考える。パートナーシップの成果を自分が主張するのではなく、相互に互いの成果を発表しあう。

きれいに割り切れる答えになることは珍しいのですが、関わる人が等しく満足する解決策を考えることです。それは会社のなかで問題を解決したり、新しい戦略を考える上でも役に立つアプローチ方法になるはずです。ぜひ一緒に考えましょう。


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